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はじめに
近年、テレビや新聞、ネット上で「国の借金が1,317兆円に達し、国民1人あたり1,063万円の借金」というフレーズが頻繁に報じられています。この1,317兆円という数字は、国債に加えて、地方債や政府短期証券なども含む「政府債務」全体を示しています。一方、純粋な国債残高は1,105兆円となっています。
このような報道は、日本が財政破綻寸前であり、国民一人ひとりが膨大な借金を抱えているかのような印象を与えます。しかし、これは正確な見方ではありません。政府の債務は、国民が保有する資産の一部として機能し、国内経済で循環しています。
国の借金はどのように生じるのか?
政府が発行する国債は、銀行や年金基金、保険会社、さらには日本銀行などが保有しています。そのため、政府の借金は基本的に国内で消化されており、対外的な負債とは異なります。
また、政府の債務には政府が保有する資産も考慮する必要があります。例えば、政府は約154兆円の金融資産を保有しており、これを差し引くことで純債務が求められます。
実態を示す「純債務」の考え方
$$ \text{純債務} = \text{総国債残高} – \text{政府保有金融資産} $$ 最新のデータ(2024年度末の見通し)では、 $$ \text{純債務} = 1,105兆円 – 154兆円 = 951兆円 $$この数字からも、単純な国債残高だけを見て日本の財政状況を判断することが適切ではないことがわかります。
国民の負担になるのか?
政府の債務は、国民一人ひとりの負債とは異なります。国債の多くは国内の金融機関が保有し、金利や返済は税収や新規国債発行によって管理されています。
また、国債の発行によって公共投資や社会保障支出が可能となり、経済成長を促進する要素ともなります。そのため、国の借金を単純に国民の借金と同一視するのは誤解を招く表現です。
さらに、日本の国民が保有する総資産は約2,000兆円に達しており、これは政府の純債務約951兆円を大きく上回ります。
国債は国内で保有される割合が高く、国民の資産として機能している面もあります。
このため、日本の財政状況を判断する際には、国民の資産総額も考慮する必要があります。
しかし、だからといって際限なく借金を増やすのではなく、天下りや無駄な事業の削減など、資金の透明性を高めることが重要です。税収の適正な使い方を監視し、財政の健全化を進めることが求められます。
まとめ
「国の借金=国民の借金」という単純な見方は誤解を生みます。
財務省や政府、そしてマスコミが流す情報にはミスリードが含まれることがあり、国民が過度な不安を抱えるよう誘導されるケースもあります。
日本の財政状況を正しく理解するためには、政府の資産や国内での資金循環を考慮し、実質的な負担を評価することが重要です。
メディアの情報を鵜呑みにせず、データを基に冷静に分析する視点を持つことが求められます。
参照元
サイト「普通国債残高の累増」
リンク: https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html
Reuters “Japan to achieve primary budget surplus next year, govt estimate shows”
Reuters “Japan projects primary budget surplus in fiscal 2026, delayed by a year”
内閣府経済社会総合研究所「2021年度(令和3年度)国民経済計算年次推計」
(PDF形式)
野村総合研究所「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」
リンク: https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20230301_1.html
資金循環統計(23年10-12月期)~個人金融資産は2141兆円と過去最高を更新したが、家計は再び資金不足に
リンク:https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id%3D77962?site=nli