巧妙化する警察官騙り詐欺:新たな脅威と対策

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警察署の番号を偽装する詐欺が急増中

近年、特殊詐欺の手口が巧妙化しています。特に警察官になりすまし、本物の警察署の電話番号を装って人々を騙す手口が急増しており、社会に不安を与えています。警視庁もこの状況を深刻に捉え、注意を呼びかけています。

警察署番号偽装の実態

警視庁によると、「警察官」を名乗る詐欺電話が多数報告されています。犯人は電話画面に警視庁の代表電話番号(03-3581-4321)や警察署の番号を表示させ、「警察からの電話」と信じ込ませています。

被害事例:兵庫県では20代女性が警視庁の代表番号からの電話を受け、「警視庁捜査二課の伊藤正屋」と名乗る男から「特殊詐欺の容疑者として名前が挙がっている」と告げられました。番号を調べると「東京都公安委員会」と表示されたため信じ、「兵庫県警の刑事」を名乗る男の指示で約50万円を振り込んでしまいました。

被害状況:警察庁データによると、2024年1月から2025年3月までに警察官を装う特殊詐欺は848件発生し、被害額は約100億円を超えています。その93%(788件)が新宿警察署の電話番号を偽装するケースで、31都道府県で確認されています。

詐欺の手口

詐欺グループは電話番号偽装アプリを使い、警察署や警察本部からの電話に見せかけます。

主な手口

  • 「あなたの口座が犯罪に使われている」など不安を煽る
  • SNSやビデオ通話に誘導
  • ビデオ通話で偽物の逮捕状や警察手帳を見せる
  • 「警視庁遺失物総合案内センター」などを装った自動音声電話

詐欺増加の背景

  • AI技術の進化:番号偽装などの技術が簡単に利用可能になった
  • 「警察」という権威の利用:警察への信頼を利用し、心理的プレッシャーをかける
  • SNSの普及:個人情報が入手しやすくなり、詐欺シナリオが巧妙になった

身を守るための対策

  • 着信表示を鵜呑みにしない:警察署の番号が表示されても、すぐに信用せず、落ち着いて電話を切る
  • 必ず折り返し確認する:自分で調べた番号に手動でかけ直す(履歴からではない)
  • 相手の情報を確認する:所属、担当部署、氏名、内線番号を確認
  • 不審な要求には応じない:警察は電話で捜査対象と伝えたり、金銭・個人情報を要求しない
  • 家族や知人に相談する:詐欺師は相談させないよう急かすことが多い
  • 最寄りの警察署に連絡する:不審な点があれば警察相談専用電話「#9110」も活用
  • 防犯機能付き電話を活用する:自動録音機能や警告メッセージ機能付きの電話を利用
  • SNSでの情報公開を控える:個人情報の過度な公開は避ける

国や関係機関の取り組み

警察庁や総務省は、注意喚起や手口の周知、電気通信事業者との連携による対策を進めています。偽装番号の表示防止や、犯行電話への警告メッセージ、海外からの不審電話遮断なども検討されています。

まとめ

警察署の電話番号を偽装する詐欺は巧妙化していますが、手口を理解し適切な対策を講じることで被害リスクを減らせます。着信表示を過信せず、不審な電話には冷静に対応し、確認を行いましょう。少しでも不安を感じたら、すぐに家族や警察に相談してください。

警察署電話番号偽装詐欺に関する統計(2024年1月~2025年3月)

項目データ出典
全国の報告件数848件警察庁
全国の推定被害総額約100億円警察庁
新宿警察署の番号を偽装したケースの割合約93% (788件)警察庁
新宿警察署の番号偽装が確認された都府県数31都府県警察庁
警視庁本部の番号偽装件数171件警察庁
兵庫県警本部の番号偽装件数94件警察庁
愛知県警本部の番号偽装件数76件警察庁
静岡県警本部の番号偽装件数76件警察庁
警察官騙り詐欺の件数(2023年、警視庁)806件警視庁
警察官騙り詐欺の被害額(2023年、警視庁)約69.6億円警視庁
オレオレ詐欺全体の被害額(2023年、警視庁)約108億円警視庁
警察官騙り詐欺の被害額がオレオレ詐欺全体に占める割合(2023年)約64%警視庁

この表は、警察庁と警視庁が発表したデータをまとめたものです。

  • 「全国の報告件数」から「その他の主要な警察本部番号偽装件数(静岡県警本部)」までは、警察庁のデータに基づいています。
  • 「警察官騙り詐欺の件数(2023年、警視庁)」から「警察官騙り詐欺の被害額がオレオレ詐欺全体に占める割合(2023年)」までは、警視庁のデータに基づいています。